前回の記事では左右に力が分散してしまうことについて触れましたが、今回は上下の分散についてご紹介します。力の分散(左右)をまだ読んでいない方は併せてご覧ください。
目次
軸脚と地面反力
爆発的な加速を生む役割
人が動くためには地面に対して力を加え、その力を地面が跳ね返す事が必要です。この力の事を地面反力と言います。
【球速が上がらない選手の特徴】
- 地面反力をもらえていない(もらえているが弱い)
- もらった反力を使う方向が違う
- もらった反力を吸収している
この中で特に軸脚が関係しているのが1と2です。3に関しては前脚との関連が深いため次の章で説明します。
1.地面反力をもらえていない(もらえているが弱い)
地面反力をもらうためには、まずは地面に対して力を加える事が必要です。
効率よく力を加えるためには青→緑→赤のように地面を押しながら体が倒れていく必要がありますが、セットポジションから足を上げて立った時点でバランスが悪いと力の方向が安定せず、上手く伝える事が出来ないまま投げなければなりません。
2.もらった反力を使う方向が違う
写真を比較すればわかるように、もらった反力をどの方向に使うか?も非常に重要なポイントです。
赤の矢印の選手の場合↗️➡️↘️という風に体重が移動するため、力のロスが大きくなり球速が伸びない原因になります。一方緑の矢印の選手は体重が上から↘️➡️➡️のように滑り台を降りて来てそのまま前足にぶつかるような動きになるためしっかりと力を伝える事が出来ます。
前脚と地面反力
3.もらった反力を吸収している
軸脚で加速した力(青矢印)は前脚が着地することによって地面反力(赤矢印)をもらう事でストップされ、骨盤が前傾+回転します。この時に前脚の膝がキャッチャー方向に出てしまうと、上手く地面反力が得られません。また青矢印の角度が垂直に近くなりすぎてしまっても同じく力が抜けてしまいます。
さらに前脚の股関節がクッションのように沈んだり前に流れてしまうと、回転軸として上手く使う事が出来ず腕が振られるスピードが落ちてしまいます。
まとめ
球速はピッチャーにとって非常に大きな武器であるという事は誰もが理解しています。
そのため多くの選手が球速を上げようと、食トレや筋力アップ、柔軟性を高めるなど試行錯誤を繰り返しています。ですが今ある力を大きくロスしている事に気がつく選手があまり多くありません。
今ある力を100とした場合、110…120…150と伸ばす事も大切ですが、そもそも6割しか伝えられていなければ、1.5倍に成長したとしても90にしかなりません。
一方100の力のままでもロスをなくして8割の力を伝える事ができるようになれば、80、トレーニングして力が1.2倍になった時点で96。1.5倍になった時には120。
あくまでイメージでしかありませんが、必死になって筋力を伸ばす事よりロスを無くす方が効率良くパフォーマンスを上げられるという事が理解できると思います。
前回の記事と合わせて、上下左右の【力の分散】が無いか?チェックしてみましょう。