ピッチャーの球速アップに不可欠!【正しいリリースポイント】とその練習法

2021.Jun
2022.Aug

この記事の内容

○『ボールを前で放せ』は正しいのか?
○球速を上げるために重要なリリースのコツ
○リリースが上手くなるための練習法

リリースに関する話でよく言われるのが『ボールを前で放せ』という話です。確かに少しでも前(打者に近い位置)で放した方が有利なのは間違いありませんが、前で放すを間違えた為に様々な問題を抱えてしまう選手も少なくありません。

そこで今回は『ボールを前で放せ』は本当に正しいのか?正しいリリースポイントを習得する為に必要な練習は何か?という2つについて解説していきます。

ボールを前で放すメリット

まず初めにボールを前で放すメリットについて理解していきましょう。

  • リリースからミットまでの距離が近い
    マウンドからホームベースまでの距離は決まっているため、少しでも前で放す事が出来ればリリースからキャッチャーミットまでの時間を短くする事が出来ます。
  • 同じ球速でも速く感じる
    多くの場合球速はピッチャーがリリースした瞬間の『初速』を計測します。同じ球速でもリリースポイントが20cm違えば、バッターから見ると20cm分差し込まれる原因になるのでそれだけ早く対処しなければいけないという事です。
  • コントロールが安定しやすい
    トップからリリースの腕の軌道によってコントロールはかなり左右されます。トップからリリースまでの距離を長く、的に対して真っ直ぐに作る事が出来ればコントロールは安定します。

これらがボールを前で放すメリットと言えると思います。
では次に『ボールを前で放せ』の前とはどこなのか?について説明します。

『ボールを前で放せ』の前とはどこか?

結論から言うと“前“とは“上“の事です。下の写真をみていただければ分かると思いますが、実際のリリースポイントは頭の上です。写真の選手はボールを前で放しているように見えるかもしれませんが、実際は上半身が踏み出した前足に向かって前傾しているため、実際のリリースポイントは骨盤〜背骨、その延長線上になるイメージです。

球速が速い人の共通点

球速が速い投手の映像を見ると、共通点があることが分かります。それは投球側の腕・背骨・骨盤・軸足がCのようにしなった所から身体が一直線になる所にリリースポイントがあるという事。オリックスバファローズの山本由伸投手は以前テレビのインタビューでリリースポイントは頭の真上より背中側にするイメージとも語っていました。

球速アップのためのリリースのコツ

腕を肘から出す

“肘から出す”とは本当に肘から出す事ではなく、トップから肩関節が外旋する事で絞りが入り、身体が回る事で『肘から出て来ているように見える』という事です。肘から出てくるようにする為には、条件としてトップをしっかりと作っておく必要が有ります。

リリースが上手くなるための練習法

空に向かってリリース練習

正しいリリースの場所は『頭の上』と書きましたが、日々の練習の中で感覚を掴むのは難しいかもしれません。そこでおすすめなのが画像のようにネットの前に立って空に向かって投げる練習です。
この練習では体を前傾しないのでボールは真上に飛んでいきます。ネットに当たってしまうようであれば、まだ肘が下がっている可能性があると考えていいでしょう。

もう一つ重要なポイントはボールの回転をチェックする事です。
ボールの中心を上手く捉えてリリース出来ていれば、ボールは綺麗な回転で落ちてきます。ですが左右にずれているとボールの回転に現れます。特にトップが出来ていない状態で腕を振って投げてしまい、ボールが投球腕側に抜けてシュート回転して落ちてくるのは避けたいところです。

シャドーで天井を叩く練習をする

言葉で説明するのも難しいので実際に行なっている動画を確認してみてください。
因みに動画ではタオルを振っていますが、実際にボールを投げてもOKです。

まとめ

今回は球速を上げるために必要なリリースの話でした。再度ポイントをおさらいしておきます。

  • 前で放せの前とは『上』で体が倒れる事で前に見えるだけ
  • “肘から出す“は肘から出るようにトップから肘の絞りを作るという事
  • 最初は空に向かってリリースする練習をしましょう

最後にリリースが上手く行き始めた時に起こる現象をお伝えしておきます。
それは平地のキャッチボールで意図した所よりもボールが高く行ってしまうという事です。ボールが高く浮いてしまう事を嫌う指導者や選手は多いのですが、リリースが上手く行き始めた時はまだ叩く感覚と前足の股関節で角度を調節する感覚が分かっていない場合が多いと思います。
ですから勢いのあるボールが高めに伸びていくという現象が出てきた時に手先でコントロールしないように注意してください。慣れてくれば自分の中でもコントロールできるようになるはずです。

PAGE TOP