この記事の内容
○一生懸命練習をしているにも関わらず球速が上がらない理由
→よくあるNG行動
○球速を上げるために必要な考え方と練習方法について
今回はピッチャーの球速が上がるのを妨げてしまう事について紹介していきます。
先にお伝えしておきますが最初は上がっていくように見える事もあるがそのままではすぐに頭打ちになりますよ。という話です。今自身が取り組んでいる事、監督やコーチであれば選手たちが行っている練習をイメージしながら読んでいただければと思います。
目次
一生懸命練習しているにも関わらず球速が上がらない理由
初めに取り上げるべきは一生懸命な選手についてだと思います。
ピッチャーである以上多くの選手は球速を伸ばしたいと考えていると思います。速いボールは打者を討ち取る上で最も有効的な武器であるからです。当然コントロールや変化球のキレなども重要ですが、ある程度以上の球速を出すことができれば相手がよほど優れていない限り打ち込まれることはありません。
それを理解して日々練習に励んでいるにも関わらず球速が上がらない選手のよくあるNG行動は以下の通りです。
- 筋力UP=球速UP
→筋力を上げれば上げただけ球速が伸びると信じている。 - フォームの改善=球速UP
→フォームさえ改善すれば球速が伸びると信じている。 - ひたすら投げ込む=球速UP
→反復すれば上手くなると信じている。
いかがでしょうか。ご自身の行動や選手達の行動を見て当てはまることはありませんか?
それでは各項目ごとに球速を上げるために必要な考え方と練習方法について解説していきます。
球速を上げるために必要な考え方と練習方法について
筋力UP=球速UP
筋力が上がれば当然出力は上がります。ですから筋力UP=球速UPという考え方は根本的には間違いではありません。ですがその過程で多くの選手が陥りやすい問題が力任せに腕を振ってしまいやすくなる事です。
腕や胸周りが大きくなり自信もついてくるのは分かりますが、力で出せる球速には限界があります。
トレーニングをしっかり積んでいて筋肉もしっかりついているにも関わらず130km/h台後半で伸び悩んでいる選手はこのパターンが多い傾向にあります。そんな選手は筋力強化により腕を早く振ろうと躍起になっているためバランスを崩しやすくケガをするリスクも高まります。力任せに腕を振らないためにも腕が勝手に振られる感覚を身につける練習も必要です。
改善方法
- 筋力よりも脱力・反射・反動の方が速い事を理解する
- 筋力を使わずに動く練習をする
- (理解できるタイプであれば)物理の法則を勉強する
まず初めに最も重要なのは筋力よりも脱力・反射・反動で動いたほうが速いという事を理解する所から始めましょう。練習方法としては様々なものがありますが、おすすめの練習を一つだけ紹介します。
- 初めに2人1組になりボールを2個用意する
- 向かい合って立ち1人が両手にボールを持って前に習えの形で立つ
(ボールは下向き・手の甲が空を向く・高さは相手の肩の高さ) - もう1人は伸ばされた手の上に手を重ねる
- 好きなタイミングで手に持ったボールを離す
- ボールが落ちる前に上から手を重ねていた選手が捕る
この練習のポイントは膝を曲げようと意識するのではなく脱力することでより速く動けるということを実感する事です。慣れてきてキャッチの確率が高くなった段階で、キャッチした後素早く立ち上がり両手をバンザイする所までを1セットとすれば脱力して動いた後地面に力を加えて立ち上がる感覚を覚える事も出来るでしょう。
フォームの改善=球速UP
一般的にフォームが改善すれば球速は上がります。ですがフォームの改善だけでは限界があるという話です。
例えば185cm90kgというような体をしていれば話は別ですが、多くの日本人はそこまでの体を持ち合わせていません。ですからフォームの改善と並行して食事を改善することで体重を増やしつつ、増えた体重を扱い切れるように身体操作能力や筋力、柔軟性を向上させていく必要があります。
改善方法
以下の事に注意しながらトレーニングを重ねる事でフォームの改善と相乗効果を生み、より大きく成長する事ができます。
- 除脂肪体重に目を向ける
→体重−脂肪=除脂肪体重 - 食事による体重増加を一気に行わない
→体重の2%〜3%/月が目安。それ以上になると脂肪が増えすぎる。 - 計画的にトレーニングを行う
→球速が上がる=体への負担が大きくなる=筋力が追いつかないと怪我の原因になる - 睡眠時間をしっかりと確保する
→筋肉だけでなく内臓の疲労を回復するためにも睡眠時間の確保は必須です。 - 身体操作能力を向上する
→YouTube等で発信されている情報を試す・専門家の指導を受ける。
最後の身体操作能力に関しては日頃行っている運動とは違う筋肉を刺激する事で新たな感覚を養う事も必要です。近年はSNSの発達に伴い様々な専門家が情報を発信しています。
ひたすら投げ込む=球速UP
多くの選手が毎日のようにボールを投げ続けていますが、それでも上達しないのは球速が上がる仕組みを理解できておらず、正しい練習を積み重ねる事ができていないからです。また体の負担が大きくなるフォームを繰り返す事で肩や肘を痛める原因にもなり得ますので注意が必要です。
改善方法
- 球速が上がる仕組みを理解する
→力の出し方、力の方向などを理解する。周りの人や専門家にフォームを見てもらう。 - 必要な筋力を強化する
→意図した動きが出来るだけの筋肉の強さや柔軟性を身につける。トレーニング・ストレッチ - 正しいフォームを身につける
→初めは形を意識して繰り返す。分割してもOK。無意識に出来るよう自動化するまで反復も大切 - 正しいフォームで投げ込む
→フレッシュな状態と疲労が溜まっている状態ではフォームの再現性は変わる。心肺機能強化も必要。
まとめ
今回は一生懸命練習しているにも関わらず球速が上がらない理由について、原因と改善法について紹介しました。最後に重要なポイントだけおさらいしておきます。
- 筋力ではなく反射・反動で動く事を意識する
- トレーニングは闇雲に行うのではなく意味を理解し、計画性を持つ事
- 大切なのは正しい反復練習。そのために必要な体力を養うのがトレーニングやストレッチ
球速が伸び悩んでいる人は先ずは原因をチェックするところから始めましょう。