速く走れる理由を掘り下げれば球速が上がって飛距離も伸びるという話

野球をする上で走攻守のレベルが高い選手は3拍子揃った素晴らしい選手として重宝されます。
これら全てのレベルが高い選手の共通点として、身体能力の高さが挙げられると思います。今回はこの身体能力について、速く走れる選手と球速が速い選手、飛距離が出せる選手の共通点を考察していきます

鍵になるのは地面反力

地面を上手く使えるか

速く走る事、球速を上げる事、打球の飛距離を伸ばす事に共通して必要なのが、地面からの反発力を上手く使う事です。人が自由に身体を動かそうと思えば地面の力を利用する以外に方法がありません。つまり地面を上手く使う事は野球だけでなく全てのスポーツにおいて重要な事だと言えるでしょう。特に陸上競技のアスリートは球技と違いテクニックでカバーする事が出来無いため、この地面からの反力をいかに効率良く使う事が出来るかがそのまま競技の順位に反映されると言っても過言では無いでしょう。

受けた力を伝えるのは身体

続いて地面反力をどのようにして推進力や球速、飛距離に変えていくのかという話です。そもそも大前提として、人の身体は衝撃を逃しやすい構造になっています。例えば背骨はS字に湾曲しており、歩行などで上下動する事で生じる衝撃から内臓や脳を守る構造になっています。要するに地面から受けた反力を吸収しやすい構造の身体であるにも関わらず、それを身体で吸収しないように上手く身体を使いつつ伝えなければならないという事です。

受けた力をロスなく伝える為の身体とは

だから姿勢を整えろ!

結論から言いましょう。地面から受けた反力をロスなく伝える為に必要なものは2つ。

  • バランスの良い姿勢
  • バランスが崩れない筋力

この2つが無ければ成立しません。先ずは真下から受けた反力を真上に伝えるだけの練習から行いましょう。例えば垂直のジャンプを繰り返し行う練習です。ポイントは膝も曲げず足首だけで跳ぶ事です。この時頭・胸郭・骨盤が垂直に揃っている事、そのまま崩れる事なく動けるバランスで姿勢を保てる事が基本になるからです。

例えバランス良く姿勢を保っていたとしても、スポーツは動きながら行うものです。体勢が変わるという事は当然地面反力を受ける方向も変わるという事。ですからその時々で動きの中で軸を作り、受けた反力を吸収する事なく伝えるだけの身体の強さが必要になるわけです。

体幹を鍛える本当の意味

ここまで読んだ方は「体幹が大切」と言われる意味が少し理解出来たのでは無いでしょうか。もちろん体幹を鍛える目的はこの反力を受けるだけではありません。木に例えると枝にあたる腕や脚を思うように動かす為の支点の役割としての体幹の強さも求められるからです。そして忘れてはならないのが、より速く動く為には“脱力”と“反射”が必要であるという事。つまり力を入れて固める事だけ上達していたとしても、本当の体幹の強さは得られたとは言えません。

数はこなさず重ねるもの

本来数を熟すとは“熟す”と書きます。熟すという字には「身につけた技術で上手く扱う・自在に扱う」という意味があるのですが、その一方で「うまく処理する」という意味も含まれています。先述したように受けた力をバランスを保ちながらロスする事なく伝達しなければならないのがスポーツです。反復練習を行う際に“とりあえず○回”という風に決められたノルマをこなすだけの練習を繰り返した所で何の価値もありません。

正しい技術を身に付ける事、その技術を使って身体を自在に操り、パフォーマンスに繋がるように数を重ねて行く事こそが熟すという言葉が持つ本来の目的では無いでしょうか。

まとめ

ここまで読み進めていただいた方の中には「走る」という事がどれほど難しい事なのか?と感じている方もいるのでは無いでしょうか。走るという事は一歩一歩地面反力を受けつつ、ロスなく伝えるという事をかなりの速さで繰り返す必要がある極めて高度なものなのです。これと同じ事が言えるのがピッチングです。

1試合に約100回、疲れ方や球種も変わる中でも限りなく同じ動作を繰り返す事が求められるのがピッチャーです。
これこそが「ピッチャーは走れ」の本質かもしれません。ですから『走り方』を意識する事なくただ数をこなしているだけのランニングは是非とも卒業する必要があると思います。

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