この記事の内容
○セットポジションの決まり
○グラブの位置とクセについて
○グラブの位置と投球フォームの関係
今回はセットポジションの時のグラブの位置にどのような意味があるか、また自分のクセや改善点に合わせてどのように工夫すべきかについて解説します。以下のような悩みもグラブの位置を変えるだけで変わる事がありますので当てはまるものがある場合は読んでみてください。
- 球速が上がらない
- テイクバックが上手くいかない
- 体の開きが早い
- バランスが悪くコントロールが安定しない
- ボールが引っかかる・抜ける
一つでも当てはまる場合は改善するチャンスです。
目次
セットポジションの決まり
初めにセットポジションの決まりについて紹介します。
- 打者に面して立つ
- 軸足をピッチャープレートに触れる
- 他の足をピッチャープレートの前に置く
- ボールを体の前方で両手で保持する
- 完全に静止する
上記はルールですので確実にクリアしなければなりません。特に最後の完全に静止するという項目に関しては高校生や大学生でもピンチの時など精神状態が乱れている時についついテンポが早くなってしまう選手もいるので日頃から習慣にしておきましょう。
グラブの位置とクセについて
セットポジションの位置とフォームの関係に触れる前にもう一つだけ理解しておかなければならない事があります。それはピッチャーのクセについてです。試合中対戦相手のチームはピッチャーを攻略するために少しでも多くの情報を集めようと注目しています。また近年ではアマチュアでもライバル校のオープン戦などを撮影して動画を分析するチームも増えているため、以前に比べて格段にクセがバレてしまう可能性は高くなっています。
グラブで球種がバレる!?
投手のグラブは黒の単色が良いと言う人もいますが、刺繍やロゴが見える場合は角度などの違いで見え方が変わると球種が分かってしまう場合があるからです。またウェブや指の間から見えるボールの縫い目の違いで球種がわかる場合もあります。その他にもストレートのように比較的指が揃う球種とフォークのように指を大きく開く球種でグラブの開き具合が変わってしまいバレてしまう事もあります。
このような事を避けるためにベルトの前でグラブを開いた状態で構える選手も少なくありません。
また握りづらい球種がある場合、サインを受けてからセットポジションで静止するまでに要する時間やグラブの動き、グラブに入っている腕の角度などで球種がバレてしまうパターンもあるため予め一番握りづらい球種でボールを持ったままサインを見る選手もいます。
グラブの位置と投球フォームの関係
それではグラブの位置が投球フォームに及ぼす影響について紹介していきます。
顔・胸とグラブの距離が離れている
テイクバックが後ろに入りやすい人には不向きです。また腕を落とした反動で上げるタイプのピッチャーにもあまりオススメはできません。理由はその位置から脱力して自然に腕を落とすと勝手に体の後ろ側に腕が行きやすいからです。特に胸や顔など高い位置に構えるとその影響は大きくなる傾向です。
腕が体の後側に行ってはいけない理由は腕が上がりにくくなり、腕が遅れる事で肩や肘の負担が大きくなるからです。また遅れた腕を引っ張り出すために体を開いてしまったり、体が横回転になりやすいなど様々な問題が起こりやすくなるからです。
グラブを上げる事で重心を上げやすい
次にセットポジションから足を上げる時に同時にグラブも上げる方法です。イメージは藤川球児さんです。
重心が上がるメリットは加速が大きくなるから。ボールを地面に落とした時に低い位置から落とすのと高い位置から落とすのではどちらがより高く跳ねるかは言うまでもありません。重心を上げる事が出来ればそれだけ前足が着地した時に受ける地面反力は大きくなり、より速いボールを投げる事が出来ます。
グラブを縦に動かす事で縦軸を意識しやすい
最後に体が横回転になりやすく、ボールが抜けたり引っかかったりしやすい選手の改善法について紹介します。(横回転が悪いというわけではなくあくまでコントロールが安定しない選手の改善法です)
先述した腕を後ろから上げてしまいやすい選手にも共通するのですが、コントロールの左右のブレは腕が体の回転軸から離れすぎている事によって遠心力の影響を強く受けすぎているために起こります。
ハンマー投げで考えるとわかりやすいのですが、リリースするタイミングが少しでもずれてしまうと狙った所に飛んでいかないため、正確にコントロールするのは至難の業です。また野球のボールの場合、体と腕のタイミングがずれていても手先でコントロールできてしまうのも問題です。手先でコントロールする事で球威が落ち球速が伸びないだけでなく、体へのダメージも大きくなってしまうためです。
動画を見ていただければ左足を上げた時にほんの少しだけ膝に向かってグラブを縦に動かしているのがわかると思います。たったこれだけの動作で縦軸を意識するだけで体の中心に向かって力を集約する感覚が生まれて腕が体軸から離れすぎてしまうのを防ぐことにつながります。
【超重要】絶対に覚えておく事
ここまでグラブの位置について主にメリットを書いてきましたが、最後に絶対に忘れてはならないデメリットをお伝えします。それはリズムについてです。現在のグラブの位置を変える事で、フォーム全体のリズムも変わります。例えばベルトの前で構えていた選手が胸の前にグラブを持ってくるように上げた場合、今までのリズムで動けば腕が間に合わず上がりきれなく事もあります。
この変化を最小限に抑えるため、先ずはマウンドからではなく平地で試すようにしましょう。理由は傾斜の無い場所の方が重心の移動速度が遅くなりバランスを保ちやすいのでリズムの変化に対応しやすいためです。そして何回か試してみてリズムが合わない、ボールが行かない場合も無理に合わせようとせず、動画を確認するなどして原因を探る事をおすすめします。
まとめ
それではまとめです。今回はピッチャーのセットポジション時のグラブの位置についてどのような影響があるかお伝えしてきました。最後に大切な所だけもう一度おさらいしておきます。
- グラブの位置によってクセが出やすい場合もある
- テイクバックで腕が後ろに入りやすい人は体からグラブを離さない
- グラブの動きで重心をコントロールしやすくする事が出来る(逆もある)
以上3点を抑えておく事が重要です。そして絶対に忘れてはならない事が2つ。
- 先ずは平地で試す事
- リズムが合わない場合は無理して合わせようとしない事
これだけは絶対に守るようにしてください。