少年野球 ピッチャーの注意点 フォーム(投げ方)の練習法

この記事の内容

○あらゆる年代を指導する立場から注意してほしい事
○フォームを考える事よりも大切な事
○成長してからも大切なポイントの基礎を抑える練習

今回は少年野球のピッチャーの投げ方についての話ですが、初めに絶対に注意して欲しい事からお伝えしていきます。記事の終盤には練習法もいくつか紹介しますが、飛ばす事なく順を追って読み進めていただくようにお願いします。

あらゆる年代を指導する立場から注意してほしい事

ケガをしない理由は柔らかく出力が低いから

言い方は変かもしれませんが、小学生はある程度変な投げ方をしていても壊れません。これは成長期の体がまだ柔らかく、筋力も弱いため出力も低いからです。ですが大切なのはある程度という所です。成長期の体は骨や軟骨の状態も不安定で、酷使してしまうと大人では起こり得ないようなケガにつながる事も少なくありません。そうさせない為にも一番大切なのは休む事。小学生の場合は1週間に150〜200球程度、それも1日の投球数は多くても50球以下に抑えるようにしましょう。
またケガをしないための投げ方を覚える事も大切です。この記事の最後にいくつか練習法を紹介していますので、日々の練習に取り入れてみてください。

壊れても交換は出来ない

あまり多くはありませんが、小学生の時点で肩や肘をケガしてしまい手術を受ける選手もいます。
例えば10歳で肘の手術を受けた場合、高校卒業まででも8年間、大卒で12年間もその肘と付き合っていかなければなりません。ロボットであれば壊れた部品は交換すれば済む話ですが、人の体はそうはいきません。そして修理をしたとしても元のように動くとも限りません。一番大切なのは壊さない事。これだけは絶対に守るべき事です。

いつ活躍したいのか

職業上肘や肩に違和感のある少年野球世代の選手と話す事もありますが「今度の試合で勝てば全国大会に出られるから」や「投げなかったらチームに迷惑がかかるから」という言葉を耳にする事もあります。
ハッキリ言いますが、この言葉を言わせているのは周りの大人です。子ども達は周囲の大人達の声を本当によく聞いています。「全国大会すごいね!」「絶対みんなで全国大会に行こうね!」など周りの期待を裏切りたくないがために自分の肘や肩の状態を最優先で考える事なく試合に臨んでしまうのです。もちろん勝つ事はいい事です。ですがその為に取り返しのつかない犠牲を生む事は絶対に避けるべき。夢を持った選手達がケガを理由に諦めざるを得ない状況を作り出すのは最悪です。ですから子どもの判断に任せず、周りの大人が体の状態を考えて止めるようにしましょう。

フォームを考えるよりも大切な事

自分ではなくバッターと対戦する事

フォームを考えすぎてしまうと自分の感覚との戦いになってしまいます。これは少年野球に限らず高校生や大学生、プロ野球選手でも陥りやすい最大の罠とも言えるでしょう。
ピッチャーは自分が投げたボールを自分で見る事はできません。だからこそ相手はどんな反応をしているのか?と見る習慣をつける事がとても大切です。例えボールでもバッターが振ってくれればストライク。バッターが振りたくなるようなボールを投げる事がピッチャーの仕事です。

打たれて学ぶ事の方が多い

今日は何本打たれた。何点取られた。自分のせいで負けてしまった。確かに悔しい思いや辛い思いをする事もあるでしょう。でも多くのプロ野球選手たちもそうやって成長してきています。もし今実力が足りないのであれば、もっと背を伸ばすために早く寝よう。体重を増やすためにたくさん栄養を摂ろう。その為には何時に照るべきなのか?何を食べれば体は大きくなるのか?悔しい思いこそが成長への大きなエネルギーです。

最も大切なのは「楽しい」事

スポーツを上達する上で一番大切なのが楽しい事です。
これは誰がなんと言おうと絶対です。楽しいから好きでいられる。楽しいから頑張れる。楽しいから負けても悔しい。楽しいが全ての源です。ストライクが入らないのも、球が速くならないのも、打たれるのも全て楽しければそれで良い。それが段々上手くなりたい、強くなりたいと変化していくもので、その根本には必ず楽しいが存在しているべきです。

成長してからも大切なポイントの基礎を抑える練習

それでは実際に取り入れていただきたい練習をいくつか紹介していきます。この練習は少年野球の世代だけでなく、150km/h以上のボールを投げるような選手達も行っている練習です。つまりそれだけ基本となる動きが大切だという事ですので、是非練習メニューに取り入れてみてください。

腕を上げた所から投げる

肩や肘に負担をかけないために大切なのは肘が十分に上がってから体が回り始める事です。
まずは習慣をつけるために腕を上げてくる工程を飛ばして、初めから腕が上がっている状態から投げる練習をします。腕が上がった状態から投げる事で、腕を出すために体を開くのを防ぐ事につながります。これは将来的に球速を伸ばす為にも非常に大切なポイントですし、ボールの回転も自然と安定しやすくなるためピッチャー以外のポジションでもとても役に立つ練習です。
また動画のように腕を上げた状態で反対の手で服を掴んで回転する事で腕が遅れる事なく回転する練習も出来ます。このようにして腕が体から離れすぎない感覚を身につけましょう。

反対の足を前に出して投げる

先ほどの練習と通ずる点も多いのですが、通常の軸足と前足を入れ替えて投げる練習も効果的です。
肩や肘を痛める原因の多くが腕が遅れた状態になってしまう事。腕が遅れる原因がテイクバックで腕が後ろに入ってしまったり、腕が上がる前に体が回り始めてしまう事です。その遅れた腕をリリースポイントに間に合わせるために無理矢理もってくる動きがケガにつながるのです。

この練習では投球腕側が最初から前に出ているため腕が遅れる心配は無く、腕がスムーズに出せるのがわかると思います。この練習で投げる感覚を覚えましょう。

ドッヂボールを投げる

肩や肘を痛める原因について触れてきましたが、そもそも野球のボールが小さく軽いために簡単に手で操作できてしまうのも腕が遅れてしまう原因の一つです。体が大きくなったプロ野球選手などはプライオボールを使ったトレーニングやジャベリックスローを行う事で腕だけでなく肩甲骨や胸郭をセットで動かす練習をしています。ですが通常のボールよりも重い物を扱う必要があるため、高校生以上なら可能ですが少年野球の選手達が行うのには適していません。

その為ドッヂボールやバレーボールなど大きいボールを使い、片手で掴む事ができないサイズのボールをしっかりと投げるために腕を上げてから投げる練習を行います。
また大きなボールは中心を捉えなければスライダーやシュート回転をしてしまうためリリースの感覚を養うのにも効果的でしょう。

まとめ

今回は少年野球のピッチャーの投げ方の注意点や練習方法についてご紹介しました。
何より最初にお伝えしたケガを防ぐ事の重要性に関してはしっかりと理解した上で子どもに判断させない事が大切です。またおすすめした練習は将来的にも絶対に意味のある練習ですので是非練習に取り入れてみてください。

PAGE TOP