ピッチャーの能力として球速に目が行きがちですが、試合で勝つためには制球力、即ちコントロールを良くする事が重要です。
どんなに速い球を投げてもボールでは意味がありませんし、甘く入ればヒットになる確率も上がります。
目次
優先順位は球速かコントロールか
アマチュア時代に150キロに迫るようなボールを投げていた投手が、プロ入り後は140キロ前後のボールしか投げていないのを見たことがある方もいるでしょう。プロに入って球が遅くなったのではなく、より精度の高い投球が求められるようになったため球速を抑えてでもコントロール重視の投球をしているケースも少なくありません。
球速が速いのは非常に魅力的である事は間違いありませんが、それ以上にコントロールがピッチャーとしての役割を果たす上で重要であると言えるでしょう。
ではコントロールが良い場合と悪い場合のメリットを挙げてみます。
コントロールが良い場合のメリット
コントロールが良い場合のメリットは細かく見れば色々ありますが、特に理解すべき3つを紹介します。
- 疲れない
- エラーが減る
- 攻撃のリズムが良くなる
疲れない
コントロールが良いピッチャーは四死球などでムダな出塁をさせる事がありません。また簡単にストライクを取られるため、バッターも自然と早いカウントから打つようになり、自然と球数を減らす事ができます。
また試合後半に疲労からフォームが崩れてしまうことも少なくありませんが、フォームが崩れた状態で投げ続けることで肩や肘への負担も大きくなります。球数を減らす事はケガの予防にもつながるという事です。
エラーが減る
ピッチャーの投げるボールはキャッチャーから出されるサインによって決まりますが、この時守っている内外野の選手もサインに合わせて守備位置を変えています。
つまりサインで要求されたコースと逆に投げてしまうと、野手が移動した方向と反対に打球が飛んでしまう確率が上がり、守備の難易度が上がるという事です。また野手は一球ごとに打球が来ても素早く動ける準備をしていますが、コントロールが悪くボールが続いてしまうと、やはりリズムが狂って守備にも影響が出てしまいます
攻撃のリズムが良くなる
コントロールのいいピッチャーがマウンドに上がっている時は自然と守備の時間が短くなり、リズム良く攻撃に移る事ができます。守備の時間が長くなると、野手の集中力に影響します。特に暑い時期の試合では、炎天下の中長時間守った後に打席に入っていい結果を求めるのは難しくなるでしょう。
コントロールを良くする3つのポイント
それではコントロールを良くするためのポイントを3つ紹介します。
ポイントは以下の3つです。
- 体のバランスを安定させる
- 点ではなく線で投げる
- 持久力を高める
それでは詳しく解説していきます。
体のバランスを安定させる
コントロールを良くするために最も重要なのは体のバランスを安定させる事です。バランスが悪いとリリースポイントがバラバラになってしまい、ストライクを投げる感覚を掴むことが出来ません。ですからフォームの前に先ずは真っ直ぐ立つ事、毎回同じバランスで投げる事が重要です。
点ではなく線で投げる
コントロールが悪いピッチャーの中にはリリースポイントだけを意識している選手もいますが、実際はトップからリリースに至るまでの腕の軌道が重要です。下のイラストのようにリリースポイント(銃口)だけでなく全身で的に向かって線を作ってやるイメージで投げる事を意識して下さい。
持久力を高める
コントロールを良くするためには同じバランスで投げる事と書きましたが、ピッチャーに求められるのは試合を通じて安定してストライクゾーンに投げ続ける能力です。そのためには繰り返し同じ動きが出来る事が最重要ポイントです。疲れてくるとどうしても体の使い方が変わってきてしまうため、長いイニングを投げるためにはそれなりの体力も必要になります。昔からピッチャーは走れと言われますが、それなりの理由があるのです。
コントロールを良くする練習方法
それでは実際の練習方法について紹介します。コントロールを改善するためには一つ一つの練習の意味をしっかりと理解しながら積み重ねていく必要がありますので焦りは禁物です。
バランス感覚を養う
バランスを安定させるためには感覚を養う事が大切です。そのための練習としてバランススクワットを紹介します。バランススクワットとは踵を上げて爪先立ちの状態のまま屈伸するトレーニングです。
- 両足を肩幅よりやや狭く開いて立つ
- 目一杯踵を上げて爪先立ちになる
- 頭からお尻までを垂直に保ったままゆっくりしゃがむ
- 頭からお尻までを垂直に保ったままゆっくり立つ
※3の時膝を中心にした角の二等分線が地面と並行であること
※目線を前に保ち下を向かない事
このトレーニングの目的は回数を重ねる事ではなく、同じバランスで動く能力を身につける事です。グラグラしながら毎回違うバランスで数だけこなしても成長にはつながらないため注意しましょう。
骨盤周辺を鍛える
体を安定させるためには下半身を安定させる事が重要です。そのため脚を鍛える選手は多いのですが、本当に大切なのは股関節周りの安定性です。ピッチングの際の脚の動きは単純な曲げ伸ばしではなく、内側や外側に捻る動き(内旋・外旋)など股関節を様々な方向に動かしています。ここでは2つのトレーニングをTwitterから引用して紹介しますので、日々のトレーニングメニューの中に組み込んでみてください。
キャッチボールを丁寧に行う
キャッチボールを肩を作るためのアップの一つと考えている選手はコントロールが改善しません。
- 立った時のバランス
- 踏み出す足の方向
- 投球のリズム
など1球1球丁寧に自分の感覚を確認しながらキャッチボールを行いましょう。
特に重要なのはボールの軌道をしっかりと確認する事です。フォームとボールは式と答えの関係です。つまりボールがどんな軌道で飛んでいるかが自分のフォームを改善するためのヒントになっているのです。
まとめ
今回はピッチャーのコントロールを改善するための3つのポイントと3つの練習方法をご紹介しました。
球数が増えて長いイニングを投げられない、なぜか自分が投げているとエラーが多い、味方の援護が少ない・・・特にエラーと攻撃面に関しては自分以外の所に責任を求めがちになってしまう所ですが、チームを勝たせる事がピッチャーの仕事と考えると、ピッチャーのコントロールがいかに大きなウェイトを占めているかわかると思います。最後にもう一度だけおさらいしておきます。
コントロールが良い投手のメリット
- 疲れない
- エラーが減る
- 攻撃のリズムが良くなる
改善させるための3つのポイント
- 体のバランスを安定させる
- 点ではなく線で投げる
- 持久力を高める
改善するための練習法
- バランス感覚を養う
- 骨盤周辺を鍛える
- キャッチボールを丁寧に行う
正確無比なコントロールを手に入れられるよう日々の練習から意識して取り組みましょう。