マウンドを制するものはピッチングを制す!マウンドに傾斜がある理由とは?

野球のグラウンドにはなぜマウンドと呼ばれる傾斜があるのでしょうか?マウンドはなぜ高くなっているのでしょうか?皆さんは考えたことがありますか?ピッチャーにとってマウンドは上手く利用出来れば大きな武器となります。しかしマウンドを上手く利用する事が出来ずに平地で投げた方が良いボールが行く人も少なくないようです。キャッチボールでは良い球が行くのに、マウンドに上がった途端ボールが行かなくなる人は是非今回の記事を参考にしていただきたいと思います。マウンドの意味や目的を理解し、上手なマウンドの使い方を覚えましょう!

マウンドの特性を知ろう

マウンドの始まり

元々野球のグラウンドにマウンドというものは存在せず、ただ単に長方形の区域が設定されこの中から投げろというルールだったようですが、その中に土が盛られるようになり、そこに足をかけて傾斜の上から下に向かって投げる方が球速も威力もあるボールを投げる事が出来ると気付いたピッチャー達が様々な角度の傾斜から投げるようになりました。そこでピッチャーが有利になりすぎないように幾度かのルール改正を経て今の形に落ち着いたのが1968年とされています。

マウンドはピッチャーの味方

歴史を見ても分かるように、マウンドはピッチャーが投げやすいように出来たものです。なぜ有利になるのか少し説明していくと、高い所から低いから所に向かってボールを投げる事で、位置エネルギーというものが働きます。これによりボールを加速させ、威力を高める事が出来ます。また高い所からボールを投げると体重が傾斜にあわせて移動するため推進力もつきます。投球動作でいう並進運動(横の移動)のフェーズです。

そして前足が地面に着く事でブレーキになり、骨盤が止まり慣性の法則によって腕が走ります。踏み出し足がしっかり止まる事と力が抜けている事が重要です。言い換えれば傾斜の力を上手く利用できているからこそ腕が早く振られます。マウンドはピッチャーにとって自分の能力を上げてくれる武器のようなものなのです。

マウンドでボールが行かない原因

冒頭でも少し述べたように平地ではボールが行くのに、味方であるはずのマウンドに上がるとなぜか急にボールが行かなくなるピッチャーがいます。この原因をしっかりと理解していなければ、今後もずっとマウンドと闘い続ける事になるでしょう。

そもそも投げ方が違う!?

まず平地での投げ方と同じようにマウンドから投げてもボールが行くとは限りません。先ほどマウンドの特性の1つとして推進力の話しをしたと思いますが、マウンドは自分で勢いをつけなくても傾斜があるので推進力で前に体重が移動します。平地と同じような意識でマウンドで投げてしまうと、軸足から前足に向かって飛び出すような形となり力が逃げてしまい、ボールに力がうまく伝わらなくなりボールが行かなくなります。これが軸足の力(蹴る力や膝のバネ)を使えない原因となります。
また、コントロールに関しても平地とマウンドで変わる人がいると思います。これは力の方向が関係しています。平地では傾斜が無いため、マウンドと比べて前足の着地が早くなります。その分間が無くなりトップが十分に出来ないまま投げてしまう形になりがちです。マウンドから投げる時は傾斜に合わせて上から下に向かって投げています。マウンドから投げる時と全く同じ投げ方で平地でボールを投げると、傾斜が無く上から下に投げる事が出来ないためボールは高めに行くはずです。それを理解しておらず、高めに浮いてしまうと勘違いして腕で高さをコントロールしてしまうと、肘が下がった形でリリースしてしまいフォームが崩れて球速や球威が落ちてしまう原因になります。

マウンドを制するものはピッチングを制す!

平地とマウンドで意識すべき事

それでは平地とマウンドそれぞれどんな意識で投げると良いのでしょうか。マウンドの特性を踏まえた上で説明をします。まず平地ではマウンドに比べて高さがなく、前足を踏み出した際に上半身が遅れてしまっているケースが少なくありません。骨盤の軸足側と前足側の高さを比較し、前足側の方が高くなってしまっている場合は回転不足が起きやすく、肩や肘への負担が大きくなりやすいので注意が必要です。また前足の角度が付きにくいためストップが利きづらくなり、回転不足と相まって膝が割れやすくなるなど力が分散して逃げてしまいやすくなります。前足のストップで腕がでてくる感覚を身に付けるためにも、軸足側で低く入りすぎない事がポイントになるでしょう。

マウンドと闘わない事

次にマウンドでは極端に並進運動(横移動)を無くす意識で投げてみましょう。それでは球が行かない!と思う人もいるかと思いますが、マウンドの傾斜だけ使う事になるので無駄な力が入らずに案外球が行くのが分かると思います。そこから徐々に自分の軸足の力を使ってマウンドの傾斜を利用しつつ、軸足の力を強くしていくイメージで投げる事が出来れば良いと思います。あくまでも傾斜の反発力を使うイメージが大切だと思います。

まとめ

プロの打撃投手でも簡易マウンドを設置して投げる程、マウンドは重要な意味を成している事が分かります。
日頃の練習でも傾斜を意識して取り組むべきです。キャッチボールで球が行くだけで満足していませんか?ピッチャーである以上、試合ではマウンドから投げる事になります。マウンドの特性を理解した上で練習メニューにも傾斜を上手く利用したメニューを取り入れると良いと思います。マウンドはピッチャーを有利にするものであるにも関わらず、身体を上手く使えないと球速が落ちたり、コントロールが乱れたりと落とし穴となってしまうものでもあります。
今回マウンドの特性からマウンドと平地の違いを説明しました。これを踏まえてマウンドを上手く利用して、高いパフォーマンスを出せるように練習していただきたいと思います。

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