世の中に練習時間の長い野球チームは多く存在します。週末や夏休みなどの長期休暇中に関していえば、朝8時や9時位から練習が始まり、17時〜18時まで連日練習を行うチームも少なく無いでしょう。
長時間の練習を重ねるチームがある一方で、練習時間も比較的短く、週に1〜2回の休みを取りながらもしっかりと選手が上達していくチームもあります。その差は一体どこにあるのか考察していきます。
目次
①なぜ長時間練習するのか
野球の練習は効率が悪い
全国津々浦々さまざまな年代の野球チームが今日も長時間の練習に励んでいます。野球の練習時間が長い理由。それは…
待ち時間が長いから!
これにつきます。例えばノックで言えばピッチャーを除く8つのポジションに大体2〜3人、多ければ5〜6人が付き順番を待つのです。単純に30人の選手がグラウンドにいて30分間ノックを受けた場合、実際にノックを受けている時間は…1分。もちろんそれ以外にカットプレーやゲッツーなどでプレーに関わる事はありますが、それでも5.6分の話。野球の練習って本当に効率悪いですね。
不安を解決するのは長時間の練習ではない
まずはっきりさせておくべき事が「たくさん練習すれば上手くなる」というのはウソであるという事。これだけを切り取れば語弊があるかもしれませんが、事実です。ただし付け加えるとすれば“考えることをせずただ闇雲に”練習をしても上手くはならない。という事です。つまり上手くなるためにはしっかりと【考える事】。そのためにも先ずは自分の課題を把握する事。チームで行う全体練習やオープン戦などの実戦の機会で克服すべき点をしっかりと見つけ、それにしっかりと取り組む事が上手くなる為の第一歩です。
②上達する為に取り組むべき事は何か
結局は個人の意欲を引き出せるかが鍵
「お前らの野球はやらされているだけだ!」
多くの選手が一度は言われた事があるのでは無いでしょうか。指導者の方であればつい口走ってしまった事があるかもしれません。確かに選手達が“与えられる事”に慣れすぎているのは私も常に感じています。典型的な例が「何したらいいですか?」という選手。自らがやるべき事を全く理解しておらず、ただ指導者からの指示をこなすだけの人形のような選手は非常に多く存在します。
ですが環境がそうさせてしまっているのであれば、その環境を作ってしまっている周りの大人にも責任があるというのは否めません。そしてこの原因のひとつに【長時間の練習】があると考えています。
例えばどれだけ美味しい食事でも、満腹の時に出されたらちょっと・・・となりますよね?そして健康にいいのも腹八分。ちょっと足りないかな?くらいで丁度いいのです。
午前中に始まった練習が昼頃には終わり。そこから遊びに行くもよし、家でゆっくり休むもよし。でもまだ日は高いし体力的にも余力がある・・・この状況で初めて「よし、もうちょっとやって帰るか!」となるわけです。
問題を解決する事で選手は成長する
上手くいかないのには絶対に何かしらの問題があります。ですが現場では「気持ちが足りない」「もっと本気で・・・」というような具体性を欠いた言葉が結構飛び交っています。そんな曖昧なもので上手くなるのであれば、誰も苦労しません。
これだけカメラが普及した世の中で、なぜ常に動画を撮影してチェックを行わないのか?(もちろん常にチェックしているチームもあります)人の「感覚」というのはあてになりません。少なくとも日本では一番上手いであろうプロ野球の1軍の選手達が、シーズンを通して安定した成績を残す事がどれだけ難しいかを考えると、感覚がどれほどいい加減なものかが分かると思います。だからこそ「感覚」ではなく「事実」を大切にする。そして自分の思い通りに動いてない部分、指導者から見て改善出来るであろう部分を把握し、一つずつ確実に解決していく事が重要です。
③絶対に必要な○○○○
栄養補給の重要性
人が動くのにはエネルギーが必要なのはいうまでもありません。練習時間が長くなると元々蓄えていたエネルギーを使い果たしてしまい、エネルギーが不足してしまいます。そんな時体内では筋肉を分解してエネルギーを作ってしまうのです。これを避けるためトップアスリートは練習中に飲むドリンクの中にBCAAやEAAといったアミノ酸を混ぜる事で少しでも筋肉の分解を避ける工夫をしているのです。
栄養・休養・運動のバランスを大切に
成長期の身体にとって最も重要なのは“成長”です。その為には適切な栄養と球分な休養、加えて適度な運動が必要。疲れすぎて食欲が落ちてしまうと食事で摂取したエネルギーを運動で消費したエネルギーが上回り、成長まで回らずに身長が伸び悩んでしまう事も。炎天下での長時間の練習や睡眠時間を削って行うような自主トレは十分な休養を取りたい年代には必要無いという事です。
成長期の選手の中には成長に関する知識が不足している選手も多いのでは無いでしょうか。だからこそ周囲の大人が正しい知識を身につけておく事で、その選手の将来に大きく貢献する事が出来るでしょう。