【少年野球】最も優先すべき事は年代によって違います!

最も優先すべきことは年代によって異なります。野球の技術を上達させるためには必ずその技術を体現出来るだけの身体が必要になります。身体が備わっていなければどれだけ技術を身に付けたとしても身体が強い選手には勝てません。今回は野球の技術が上達していく上で最も重要と言っても過言ではないフィジカル部分の成長についてご紹介していきます。

最優先!とにかく寝る時間を確保する事!

まずは体が一番成長する睡眠の大切さについて。睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があります。この2種類を約90分周期で一晩に3〜5回繰り返しています。

ノンレム睡眠とは

睡眠は先ずノンレム睡眠から始まります。ノンレム睡眠は深い眠りで、特に眠り始めた時の最初のノンレム睡眠は睡眠全体の中でも最も深い眠りになります。ノンレム睡眠の時には、身体も脳も完全に休んでいる状態になります。この時に成長ホルモンが分泌されノンレム睡眠に入ってから30分後に放出量は最大になります。成長ホルモンは子どもにとっては成長を促すものですが、大人になると心身の疲れ・ストレス・筋肉の回復、さらに老化の進行を抑制する役割を果たします

レム睡眠とは

一方レム睡眠は、身体は眠っているのに脳が活発に動いている状態の事を指します。夢はレム睡眠の時に見るので、朝起きる直前まで夢を見ていて夢か現実か区別がつかないという経験をした事がある方も多いのではないでしょうか。レム睡眠の時は海馬に収納された記憶を固定しておりこの時に知識や経験が整理されます。朝に向かうにつれてノンレム睡眠は浅くなっていき、徐々にレム睡眠の割合が増えて覚醒に向かって行きます。

成長ホルモンの分泌量が重要

成長段階の子どもの睡眠において一番重要になってくるのは、成長ホルモンをいかに多く分泌する事が出来るかどうかです。成長ホルモンを最大限効率よく分泌する事が出来れば、身体の成長は大きく変わってきます。

成長ホルモンは一般的に午後10時から午前2時に最大になるとされていますが、単に睡眠をその時間の間に取ってしまえば良いという事ではありません。寝る時間の他に一つ関係してくるのが睡眠をどれだけ深く取れるかという事です。ノンレム睡眠とレム睡眠という2つの睡眠をより深く取るためには、睡眠のリズムを一定にする必要があります。この睡眠のリズムを作ってくれる物がメラトニンと言われるホルモンです。メラトニンには体内時計を整える効果があり、体内時計が整う事によって睡眠のリズムも一定になるため、ノンレム睡眠とレム睡眠の時に行われる記憶の固定とホルモンの分泌がより活性化されます。そして、メラトニンをより効率よく出すためには朝日を浴びる事と朝食をきちんと摂る事が最も大切です。

成長が止まっても成長ホルモンは必要!

成長ホルモンの役割の変化

成長期が終わり身体の発達が終わっても成長ホルモンは大切な役割を持っています。
成長過程では身体を成長させるために使われてきた成長ホルモンは大人になって成長が止まることによって用途が変わり、日中の疲れやストレスの解放及び筋肉組織の回復を促すようになり、高校生以降はほとんどが成長よりも身体の疲れやストレスの解放などを促すために使われるようになります。ですから小学生から中学生までだけではなく高校生から大人にかけても睡眠をきちんと一定のリズムで取っていく事が野球で負けないフィジカルを作っていくためには必要です。

スキャモンの発育曲線

次はスキャモンの発育曲線について述べていきます。まずスキャモンの発育曲線とは人が成人するまでの過程で身長や臓器がどのように成長していくのかをグラフによって示したものです。このスキャモンの発育曲線には一般型・神経型・生殖型・リンパ型の4つ種類があります。今回はその中でも野球をする上で重要な神経型と一般型について見ていきましょう。(画像は掲載出来ないため詳しく知りたい方は【スキャモン】で検索してみてください)

神経型

脳や脊髄、視聴覚系などのリズム感や身体を動かす事に対する器用さの発達の事を言います。神経系は4〜5歳で成人の80%に達し、12歳頃までにほぼ100%に達します。これ以降も努力で補える部分はありますがこの期間が一番成長していきます。ですから『プレゴールデンエイジ』と呼ばれる神経系が発達著しい5~8歳のうちに器械体操やダンスなどの多種多様な動きを経験しておく事によってのちの運動能力の高さにつながっていき、自分がイメージした動作をイメージ通りに再現する事が可能になります。

そして、『ゴールデンエイジ』と呼ばれる9~12歳の子どもたちは神経系がほぼ100%発達し、高度な動きを身につけることがたやすくなる時期です。しかし、『プレゴールデンエイジ』で神経系の発達を疎かにしてしまっていれば『ゴールデンエイジ』で高度なテクニックや野球などでの専門的な動きの習得も身に付きにくくなります。だからこそ、この『プレゴールデンエイジ』と『ゴールデンエイジ』での神経系の発達は最優先してください。

一般型

身長や体重、呼吸器や消化器など臓器の発育を示しています。
幼児期までは急激に成長していき、思春期にはもう一度成長に拍車がかかり20歳の頃には発育が大人のレベルに達します。野球に必要な体格はきちんとした生活リズムで高校生まで生活することによって遺伝子にはよりますが、その中での最大限の成長をする事が出来ます。しかし神経系等に関してはどれだけ規則正しい生活をしているだけでは発達することはありません。

野球の上達ではこちらの記事に書いてある「指導されても中々できない選手の特徴③」にも書いてあるように身体を自由自在に操ることが大切になってくるため、幼少期に体操やダンスをやっておくことは野球を上達する上でとても大切になってきます。

成長期と筋トレ

筋トレ開始のタイミング

最後に子どもに筋トレをどのタイミングで始めさせるべきかについて述べていきます。筋トレはまず関節に多少なりとも負荷をかけて行うものです。したがって関節がまだきちんと形成されていない『ゴールデンエイジ』には重りで負荷をかけるような筋トレをすべきではないと考えています。

12~14歳までの特徴としては心肺系統の発達が著しく見込まれるため、心肺持久力の向上を狙ったトレーニングをする事が効率的と言えるでしょう。そして、筋トレを本格的に始めるのは15歳を過ぎた辺りからがベストになります。15〜18歳までは骨や筋肉の発達が著しく、筋力が上がりやすく関節もきちんと形成されているため自重トレーニングだけではなく重りを使ったトレーニングもこの時期から始める方がいいでしょう。

まとめ

最初に述べたように身体作りを大切にしない事には野球の技術が上達する事はありません。ここまで書いてきた様に身体作りは特に『プレゴールデンエイジ』と『ゴールデンエイジ』の期間に大部分が決まります。もう一度トレーニングの方法や生活習慣をきちんと見直すことでより身体作りを効率よく行なっていき、将来より高いレベルでプレー出来るような基礎を作っておきましょう。

PAGE TOP