いつも同じように投げているつもりでも、調子は日によってバラバラになってしまいます。これは野球を始めたばかりの子どもでも、メジャーリーグで活躍するトップアスリートでも同じ。あのダルビッシュ投手や大谷選手でさえ調子が上がらない日も有ります。そこで今回はなぜ調子が悪いのか、どうすれば改善するのかなど、自分の調子を少しでもコントロール出来るようにする方法をご紹介します。
目次
なぜフォームが崩れるのか
先ずは原因を知る事
多くの選手は自分の身体が突っ込んでしまっているのか、上半身が遅れているのかなど体重移動のズレを気にしますが、その原因として身体のバランスに前後のズレが生じている事も少なくありません。
前後のズレとは何か?具体的に説明すると立った状態で人の身体を横から見て、頭・胸郭・骨盤の位置関係を確認します。あわせて骨盤の角度が前傾しているのか、水平を保っているのか、後傾しているのかもチェックすると良いでしょう。
疲労が蓄積すると姿勢が変わる
例えば疲労が蓄積している時に多いのが背中が丸くなり姿勢が崩れてしまう状態。この時頭・胸郭・骨盤の中で胸郭が少し後ろにズレてしまいやすくなります。これに合わせて骨盤は少し前傾しやすくなり腰が反ります。また顔の角度を保つために首の後ろ側の筋肉に負荷がかかりやすくなり、肩甲骨が下に落ちにくくなります。
こうなるとトップを作る時に肩が落ちにくく、肘が上がらず上手くトップを作る事が出来ません。また早い段階で骨盤が前傾する事で下半身の力を上手く使う事が出来なくなります。その結果自分の身体を上手く加速する事が出来なくなり、上半身で無理に加速しようとしてしまうため身体が突っ込みやすくなり、開きやすくなる。最終的に力んで腕を振るだけの手投げになってしまう。
今の説明の中で出て来た
・トップが出来ない
・身体が突っ込む
・身体が開く
・下半身の力が使えない
・力んでしまう
これら全ての原因が“姿勢が崩れたから”です。あくまでこれは例として挙げただけにすぎませんが、調子が狂って来た時に姿勢に目がいかず、なぜ開くのか?なぜトップが上がらないのか?もう少し軸足に体重を残してみようか?など試行錯誤してしまうと、実際は変える必要の無かった所を崩してしまい、本来の姿勢に戻った時には今度はフォーム全体のバランスが崩れてしまっている・・・という事も少なくありません。
写真や映像を使ってフォームを見る時の注意点
その動きは腕を引いて作ったものなのか?それとも身体が動いて(回る事などで)出来たものなのか?動画や写真を見る時はこの区別がとても重要です。スローやコマ送りを簡単に見る事が出来る時代だからこそ通常のスピードの動画と合わせて確認する事が大切です。
映らないモノを見る事が重要
スロー再生やコマ送りで自分のフォームをチェックしていませんか?また憧れの選手がどのようにして投げているか、スローの映像や連続写真を参考にして「ココがこうなってる!」など見ていたりしませんか?スローやコマ送り、静止画に写らないもの。それは“しなり”や“反射”のスピード感です。
例えばオリックスバファローズの山岡投手のように、身体のしなりが素晴らしい選手をスローや静止画で見て“こんなに胸を張っている”と認識してしまうと非常に危険なので注意しましょう。ここでは割愛しますが“した”と“なった”の違いを理解する事でどうすればこう出来るのかと考える事が出来るようになるでしょう。
自分の身は自分で守る
色々な人からアドバイスをもらったり、自分で情報を集めたとしても全てを実行する事は不可能です。なぜなら人それぞれ身体の作りや使い方のクセなどが違うから。ある意味ピッチングフォームはファッションのようなものでトータルコーディネートが重要なのです。様々な所から得た知識の中から自分に合うものや必要なものを取捨選択して最終的にフォームを作り上げるのは自分です。その為には良し悪しを分別するための知識が必要。頭を使えない選手は大きなハンデになるでしょう。
調子が落ちる事を想定しておく
ピンチの自分を救うのは自分
備えあれば憂いなしと言いますが、簡単に言えばストライクを取れるボールをいくつか練習しておきましょうという事です。ゲームであれば全ての球種が調子が良い、悪い時は全て悪いというのがあると思いますが、実際はそんなに単純なものではありません。ストレートが良い時はスライダーがイマイチ、逆にストレートがおかしい時はスライダーがかなりキレているという事もあるでしょう。
試合前の投球練習で調子が良いボールと悪いボールを見極め試合に活かす事が出来れば、たとえ調子がいまひとつの時でも解決の糸口が見つかるかもしれません。また投げている内に試合の中で調子が上がってきたり、疲れて来た頃に変化球のキレが良くなるという事もあります。ですから焦る事無く冷静に状況を見極める事が出来るだけの対処法を用意しておきましょう。
まとめ
今回は今フォーム崩れている原因が分からない選手、試行錯誤を繰り返して悩んでいる選手に向けて視野を広げて色々な視点から自分を見つめ直してもらいたいという思いからこのような記事を書きました。記事の内容を実践するためにはある程度の知識をつける必要があるかもしれません。ですが野球を続けていきたい、勝つ喜びを味わいたい、チームメイトに頼りにされたいと思うのであれば、それ相応の努力が求められるのはいうまでもありません。今までこの記事のような事を考えた経験が無い選手も、少しだけでも考えてみてはいかがでしょうか。