以前このようなツイートをしていたのですが、今回はタイトルの通り“考えすぎたら動けない”について少し詳しく解説していきます。
私自身、色々な選手と関わっていく中で「考えすぎて上手くいきません」という言葉を口にする選手にも遭遇するため、少しでもそんな悩みを抱えている方の役に立てばと思います。
- 考えるのが苦手(考えるより感覚派)
- 人から指摘されると逆に上手くいかない
- 一つなら出来るけど複数になるとダメ
- 指摘された事は絶対に習得しようとする真面目なタイプ
これらが当てはまる人は一度目を通してみてください。
動作を“習得する”とは
意識して行う動作
新たな動作を習得するとき、先ずは意識して体をイメージ通りに動かす事が必要になります。
この時に注意しなければならないのが、無意識で行っている動作と習得を目指す動作をどう融合させるか?です。
例えば良くある話ですが、ピッチャーのテイクバックを練習する際、意識してトップを作ろうとしてしまう事で全体のバランスやリズムが崩れてしまうケース。
進化しようとして練習に取り組んだにも関わらず、結果として伸びないどころか逆に球速が落ちてしまったりコントロールが安定しなくなってしまう事すらあります。
そのため指導者の中にはテイクバックを扱うのはタブーであると最初から触れない人もいます。
無意識で行う動作
一方無意識で行う動作は、既に体の中にインプットされていて“習慣化”されている動作です。
コーチという立場からすれば、この“無意識でも出来る”所まで行って初めて動作を習得したと言いたい所ですが、これに至るまでには身につけようとしている動きを正しい形(順番やバランスも含む)で何度も何度も繰り返し、体に染み込ませる事が必要になります。
日頃から習慣になっている動きを上書きしようとするわけですから、当然最初は意識して取り組む事も必要ですし、少しでも雑に行えばまたいつもの“習慣化されている動き”に戻ろうとしてしまいます。
私が1回1回のトレーニングの“型”にこだわるのはこのためです。
イメージしている動きを正確に何度も繰り返す事で、初めてその動きを習慣化させ、無意識でもその動作が出るように出来るのです。
“考えすぎて動けない”で片付けてはいけない
考えすぎて出来ないという選手の多くは、指導された動作を意識しながら行おうとしている段階です。
つまり無意識でその動きが出せるまで習得できていないという事。ですから更なる“正しい反復練習”を重ねる必要があるという事になります。
また習得を目指している動きに対する理解度も重要になります。
四段階の理解
- 見た・聞いた・知った(情報を入手した段階)
- 分かった(頭では理解した)
- 出来た(イメージ通りに動く事が出来た)
- 伝えられた(自分の動きを他人に共有出来た)
例えばその動きは“する”ものなのか“なる”ものなのか。
本来であれば別の部位が動く事で、それに連動して勝手に“なる”はずの動きを直接“する”意識で動いてしまい、思うように動きを習得出来ない場合もあります。
このような勘違いを起こさないためにも、動作の習得を目指す時には初めにしっかりと理解してから行うようにしましょう。
プレー中に考える事ではない
とは言え練習や試合でプレーしながら自分の動きも意識しながら・・・
これでは体が動かなくなるのは当たり前です。もっと言えば、自分の動きを気にしながらプレーする余裕があるのなら、次に相手はどんな攻撃を仕掛けてくるか?ベンチの動きは?ランナーは?守備位置が1歩ずれているのはどんな意味があるのか?などもっと周りからの情報を得る事に意識を持っていくべきでしょう。
ですから自分が動作を習得する時間とプレーする時間をしっかりと割り切る事が重要です。
まとめ
今回は“考えすぎて動けない”の原因について取り上げてみました。
ここまで読み進めてきた方はお気づきでしょうが、一つの動きを本当の意味で習得するというのは非常に困難な事であり、時間をかけて回数を重ねていく必要があるかなり根気のいる地道な作業であるという事です。
- 先ずは動作に対する理解度を高める
- 無意識でできるようになるまで反復する
- “野球”が求められる場面では割り切ってプレーに集中する
この3つを理解した上で新たな動作の習得に取り組む事が出来れば、考えすぎて動けないというような事にはならないと思いますので、当てはまる方は一度立ち止まって状況を整理してみてください。