突然ですが皆さんはウエイトトレーニングは野球において必要だと思いますか?
近年ウエイトトレーニングが普及し、今年の夏の甲子園に出場する石見智翠館高校は平均体重が80.8キロ。2019年の甲子園出場校の中でトップであった履正社高校(78.7キロ)より2キロ程重くなっている事が分かります。その他でも平均体重が上位の学校は75キロを超えており、小柄な選手でもかなりがっしりとした体型になっているのが分かります。
【体重の増加=ウエイトトレーニング】とは一概に言えませんが、体重を増やしてパフォーマンスを上げると言う考え方が現在の高校球界ではスタンダードになっています。今回はウエイトトレーニングをテーマに、その是非について考えていきたいと思います。
目次
トレーニングの位置付け
トレーニングの捉え方
まず皆さんはトレーニングをどのようなものとして捉えているでしょうか?
チームの練習メニューの中の1つとして組み込まれている人もいれば、積極的に個人で取り組んでいる人もいるのではないでしょうか。冬季の練習では、より優先順位の高いものとしてトレーニングを行うチームも少なくありません。ここで考えていただきたいのがトレーニングを行う目的。つまり本質です。体重を増やす事も筋力を付ける事も全ては試合の中でのパフォーマンスの向上の為だと思います。この目的を無視してただ単に身体を大きくする事や筋肉を太くする事に目を向けるのは非常にナンセンスです。あくまでもトレーニングは補強であり、食事で言うサプリメントのようなものです。この事をきちんとおさえることが大切だと思います。
トレーニングの優先順位
これはあくまで私の意見ですが、身体の扱い方を理解する前に身体をとにかく大きくしとうと言う考え方は危険だと考えています。その理由は単純に操作が難しくなるからです。また体幹部と腕や脚など末端の部分のバランスが崩れてしまうとケガにつながる恐れもあります。ですからトレーニングよりも身体を動かす仕組みを理解する事やその動きを自分の身体で再現出来るようにする事の方が優先順位が高いと言えます。
トップ選手でも異なるトレーニングに対する見解
ウエイトは必要ない!
ーイチローさんから学ぶトレーニング論
トレーニングについての考え方を述べましたが、ここでイチロー選手のトレーニングに対する考え方を紹介したいと思います。某テレビ番組のインタビューでイチロー選手はウエイトトレーニングについて否定的な意見を述べました。その動画がこちらです。
動画内でイチロー選手は「持って生まれたバランスを崩してはダメ」「トラとかライオンはウエイトトレーニングをしない」と述べられています。その背景には本来のバランスを崩してまでトレーニングをする必要は無いという考え方があるからです。この事からウエイトトレーニングには本来持ち合わせていた長所を消してしまうという危険も含んでいると言う事が分かります。安易にウエイトトレーニングを行うという事はバランスを崩す可能性があり結果的にパフォーマンスを低下させてしまったり、ケガに繋がりかねないという事です。ですからもしウエイトトレーニングを取り入れる時にはしっかりとした知識を持った専門家の指導の元行う事をオススメします。
ウエイトは必要!
ーダルビッシュ投手から学ぶトレーニング論
安易なウエイトトレーニングの危険性について述べましたが、次にダルビッシュ投手のトレーニングに対する考え方を紹介します。ダルビッシュ投手はウエイトトレーニングを積極的に取り入れており、まだ日本で投手が積極的にウエイトトレーニングを取り入れていない頃から行っていました。トレーニングに関する考え方は以下の動画で確認してみてください。
ダルビッシュ投手はトレーニングをする目的として「自分自身の可能性を広げるため」と述べています。先ほどのイチロー選手の考え方も踏まえた上で身体のバランスを維持したままトレーニングで身体を補強することができれば確実にパフォーマンスの向上に努めることが出来ると思います。
結局ウエイトトレーニングは必要か
人それぞれ答えが違うのが正解
結局ウエイトトレーニングは必要なのでしょうか。結論から言えばその答えは人それぞれです。このような答えで無責任に感じる方もいるかもしれませんが、結局鍛える部位も人それぞれ、考え方も人それぞれだからです。人によって足りないと感じる部分は違うものであり、補う手段も違います。
またウエイトトレーニングをしなくても大きくて筋肉質の身体をしている選手もいます。特に速筋が多いタイプの遺伝子を持っている選手は、遅筋が多い遺伝子の選手に比べ筋肉が大きくなりやすい体質と言えます。
忘れてはいけない“役割”の違い
もう一つ忘れてはいけないのが野球にはポジションというものがあり、それぞれ求められる動きや役割も異なるという事です。今回例に挙げさせていただいたイチローさんとダルビッシュ投手も野手と投手。そしてイチローさんと同じ野手であったとしても、二遊間を守る選手と外野を守る選手、チャンスメイクを求められる選手と長打を求められる選手、足が速い選手と遅い選手など色々な特性を持った選手がいるという事です。もちろんこれは投手でも言える事です。
まとめ
いかがでしたか。今回のこの記事の本質は“考える事”と“安易に否定も肯定もすべきではない”という事にあります。結果的に求めていた答えと違うと感じる方もいるかもしれませんが、ウエイトトレーニングの必要性について考えることが出来たのではないでしょうか。そして何となくトレーニングをしておけばいいという考え方が非常に危険な考え方であるという事が分かったのではないでしょうか。これからウエイトトレーニングを始めようと思っている人がいたら是非参考にしていただだけたらと思います。