投手の皆さんは投げることにおいて前足を最大限活かすことが出来ていますか?もしかしたらその前足の使い方を改善することでさらにパフォーマンスが向上するかもしれません!今回は前足の正しい使い方とトレーニング方法を紹介していきます。
ピッチングにおける前足の役割
前足は“きっかけ”
そもそも前足はピッチングにおいてどのような役割があるのでしょうか?まず前足のイメージですが、最初は前足=ブレーキと考えてください。体重移動をして勢いがついた身体に前足で上手くストップをかける事で、反動で上半身が飛び出します。
イメージを伝える時に良くする話で、グラウンド整備に使うトンボの話があります。
野球をしている人なら整備をする際にトンボを使った事があると思います。練習に疲れた時など、ベルトにトンボの柄の部分を当てて歩きながら整備をしていたら、地面に釘や石などがあってそれに引っかかってしまい、急にトンボが止まりその反動で前に倒れそうになってしまう…。一度位は経験した事があるのではないでしょうか?
この時勢い良く上半身が前に倒れてしまいます。要するに、前足はトンボのように勢いをストップさせ上半身の動きを加速させるきっかけとして使いたいのです。
実際どう使うべきか
前足がブレーキの役割をするイメージが少し出来たと思いますが、それでは前足をどう使うべきか少し掘り下げていきます。
前足の最も大きな役割はきっちり止まる事です。力を無駄にする事なく回転運動に繋げるためには、前足がきっかけとなり、前足側の股関節がしっかり止まる事が重要になります。ここで重要なのが『止める事』ではなく『止まる事』です。止める意識が強すぎると力が入りすぎてしまう可能性も考えられるため、止まるように身体を使う意識が大切です。
その為には膝の位置が重要になります。前足が地面に着いた時、踵の垂直線上より後ろに膝頭が来る事がベストです。膝が固定できずに前に流れてしまうと、止まる事が充分に出来ていないため効率よく回転運動に移る事が出来ません。そうなると身体がうまく入れ替わる事が出来ないため、無理に上半身を捻るなどしてリリースしてしまい、肩や肘への負担が大きくなります。
前足の使い方の練習法
トレーニングの中で身に付けよう
前足の役割、正しい使い方、形が分かったと思いますが、それでは正しい形を身に付けるためにはどのようなトレーニングをすることが良いのでしょうか。下半身のトレーニングは様々ありますが上記の正しい前足の使い方を身に付ける事が出来る練習をここで紹介します。まずは下記の動画をご覧ください。
動画内でも紹介されていましたが、下半身のトレーニングとしてはかなりポピュラーなブルガリアンスクワットの形です。
重りを持って沈んでみたり、ジャンプしてみたりと種類は様々ありますが、何よりも重要なのが実際に投げる際に注意する「膝が踵の垂直線上よりも前にでない事」です。
またそれに加えて前足が止まるために左足を蹴り戻す意識が大切です。
よく前足を「踏む」と言う表現を目にしますが、踏む=沈むになってしまい結果的に膝が前に流れてしまう選手も多くいます。トレーニングを行う時にも、注意するポイントを間違えないように常に意識しておきましょう。
140キロを超える投手から学ぶ前足の意識
実際に140キロ以上を投げる選手やプロで活躍する選手の前足はどのようになっているのでしょうか。ここではある大学生の投手例に挙げます。彼のストレートの球速は140キロを常時超えます。
トップからリリースにかけて、前足の膝が踵の垂直線上より後ろにキープされており、リリースの瞬間には膝が伸びた状態になっていることが分かります。これにより地面反力をしっかりと上半身に伝えているのが分かります。
またミネソタ・ツインズに所属している前田健太投手には自身のYouTubeチャンネルの球速が上がった秘訣の中で歩幅を狭くすることが球速アップに欠かせないことの1つだと言っています。広すぎる歩幅は回転不足を生むだけでなく、体重がしっかり前に移動する事も邪魔してしまいます。歩幅を少し狭くする事で前足の膝をしっかりと止める事に繋がり、回転と体重移動をスムーズに行えるようになるでしょう。
いかがだったでしょうか。前足を上手く使う事でより効率良く力を発揮することが出来ます。冒頭にも少し述べましたが前足を正しく使うことによって腕を振るではなく反動で腕が振れる形を作る事が出来ます。今まで自分自身が気づかなかったことに気づくことで新しい感覚が見つけることができます。是非今回紹介して事をチャレンジしてみてください。今回は以上です。ありがとうございました。