この記事の内容
○差し込まれるとはどういう事か
○差し込まれないために必要な事
今回は多くのバッターが嫌う“差し込まれる”の原因と対策についてです。
目次
差し込まれるとはどういう事か
一言でいえば差し込まれるとは振り遅れているという事です。
差し込まれるの反対は泳ぐと言いますが、要するにタイミングが早すぎた状態です。ピッチャーは何とかしてバッターのタイミングを外そうとしてきますから、ストレートのタイミングで待っていて変化球が来る事もあります。そんな時にタイミングが早くなりすぎて体が前に引き出される事を泳ぐと言います。
差し込まれるか泳ぐかではどちらがマシ?
では泳ぐ(早すぎる)と差し込まれる(遅すぎる)ではどちらがマシでしょうか。
答えは泳ぐです。その理由は泳いでも下半身を上手く使う事で体勢を保ち、スイングする事は出来る一方で差し込まれた場合はどう足掻いてもしっかりとスイングする事が出来ないからです。かと言って出来るだけ前で打てばいいというほど単純ではないのがバッティングです。それでは次に差し込まれないために必要な事について説明していきます。
差し込まれないために必要な事
差し込まれないためにはいくつかコツがありますが、その中でも特に重要な事を3つお伝えします。
ただしこの3つはある程度慣れや仕組みの理解が必要になるものですので、読んですぐ効果が出るかは定かではありません。ですが打てている選手たちは必ずと言っていいほど出来ている技術ですので、もしすぐに出来なくてもイメージして取り組み続ける事をお勧めします。
だまされるな!テイク“バック”
テイクバックという言葉に惑わされてはいけません。なぜなら実際に打てるバッターは手でバットを後ろ(キャッチャー方向)に引いていないからです。動画を見ると中村剛也選手は構えからスイングに至る過程でバットをほとんど引いていない事が分かると思います。もし参考にしている選手がいれば動画を確認してみてください。多くの選手が体ごとキャッチャー方向に移動する事はあっても、手でバットを引く事は無いでしょう。
バットを引いてはいけない理由
テイクバックでバット引かない事をお勧めする理由は、引いてしまうと速いボールに対して差し込まれる可能性が高くなるからです。ただしこの打ち方で飛距離を出すためには上半身と下半身の捻転差を作るだけの柔軟性やそこから元に戻る力を強くする体幹の強さも必要になります。
“ボール”を見すぎるな
ボールをよく見てしっかり当てろ!など言われた経験がある人も少なく無いと思います。ですがボールをよく見ようとすると目や体の動きは悪くなります。これはバッティングだけでなく守備の時にも言える話ですので、ぜひしっかりと覚えておいてください。
ボールを見るコツ
ボールを見るときはボール自体を見るのではなく、ボールの軌道を見るように意識しましょう。イメージとしてはピッチャーのリリースからキャッチャーミットに向かって線が伸びているような感覚です。バッターはその過程でボールの軌道とスイングの軌道が重なるように振る事が求められます。
待たずに入って行く事
よくある指導の一つに『前に体重を移動せず軸足の上で待つ(軸足に乗せる)』というものがあります。
確かに体重が前に流れてしまっている場合も差し込まれる事もありますが、軸足の上で待つイメージを持ちすぎるのも差し込まれる原因の一つです。
例えば守備で考えても分かると思いますが、ゴロを捕る時に足が止まってしまうと体が反応しづらくなります。理由は動きの流れの中でボールのバウンドに合わせる事ができないからです。同じくバッティングも静から動ではなく動から動でボールを捉えるべきです。実際にプロ野球選手のバッティングを見るとわかりやすいのですが、特に注目すべきはボールを見送った時の反応です。この時に軸足の上に体重が乗ったままボールを見送っている選手はいません。
入って行くときの注意点
ボールに向かって入って行く意識を持つ時に注意して欲しいのが軸足の長さを変えてはいけないと言う事です。入って行く=前に行くと考えた結果、せっかく力を伝えられる形で構えていたはずなのに軸足の股関節が伸びて重心もブレてしまう選手も少なくありません。
ポイントは2つの⭕️です。軸足の股関節付近にまだシワが寄っているのが分かります。これは前足が着地して回転が始まった時に更に出力を上げる余力があるという事です。そして前足の膝はまだ回り始める事なく閉じたままステップしています。このまま爪先から着地して回転に合わせて踵を強く踏み込む事ができる形です。
まとめ
今回はバッティングでボールに差し込まれないための方法について紹介しました。最後にポイントをおさらいしておきます。
- テイクバックで腕を使ってバットを引かない
- ボールを見る時は軌道で見る
- ボールを待たずに入って行く
そして最後に、万が一差し込まれた時の対処法についてお伝えしておきます。差し込まれて一番対応が難しいのがインコース(特に高め)ですが、前足で地面を蹴って体をキャッチャー方向に下げる事でボールとの距離をとる事ができます。そのままバットを前に出す事なく、腕を伸ばさずに体と一緒にコマのように回るイメージです。
ただしスイングの時腕が体から離れてバットが遠回りしてしまう選手は上手く対応できないため、先にバットが遠回りしないように練習しておく事が必要です。またやろうと思ってから出来るほど時間もないため、反射的に体が動くように反復して自動化させておく必要もあります。
この動きに関しては上級者向けのテクニックですので小学生など体幹や下半身の筋力が足りない年代では飛距離を出すのは難しいでしょう。ですが体が反応するようにインプットしていても損はないので、挑戦してみてもいいかもしれません。