“速い球を投げたい”をコントロールする事が球速を上げるための近道!

ピッチャーであれば誰もが速い球を投げたい!いい球を行かせたい!と感じるはず。
当然の事なのですが、仕組みを理解しないまま気持ちだけで身体を動かしてしまうと思うような結果を得られないばかりか、パフォーマンスを落とす事にもつながってしまいます。今回はその“投げたい”に潜むリスクと対処法についてご紹介します。

“速い球を投げたい”に潜むリスク

身体が突っ込む

身体が突っ込むとは、下半身に対して上半身(頭)が投げる方向に行きすぎてしまい、下半身の力を上半身に伝える事が出来ずに腕の力で投げてしまう形の事を言います。身体が突っ込んでしまう原因の多くはバランスが悪い加速の方法を勘違いしているかの2つです。突っ込んでいるかいないかチェックする基準は、前足を踏み出した時に骨盤の位置と頭の位置を見れば分かります。骨盤の上に頭があれば大丈夫。骨盤より前にあれば突っ込んでいると考えて良いでしょう。※例外もあります

なぜ突っ込むと良くないのか

次に突っ込む事による弊害について少し触れていきます。先ずピッチングの動作を単純にすると体重移動と回転です。体重移動の段階で身体が突っ込むと、下半身の力を上手く使えなくなり上半身の力に頼る事になってしまいます。突っ込んでしまう選手の多くが加速しようとして上半身で飛び出してしまった結果です。加速とは体感速度を上げる事ではなく手先(ボール)をしっかりと加速する事が大切です。軸足で思い切り前に蹴り出して上半身や頭が前に向かって飛び出すと、体感速度は上がり加速出来ているように感じますが、前足が着地した時にはすでに軸足側にはほとんど力は残っておらず、そこから回転をするためには上半身を捻る事、つまり身体を開く事以外に方法がありません。そうなると腕が遅れてしまいがちになり、思うように球速は上がりません。

※開きが速い選手が全て突っ込んでいるというわけではありません。もちろん突っ込みが原因である場合も多くありますが、単純に下半身の使い方が上手くないだけの場合もあります。

腕が遅れると肩や肘の負担増に

一般的に腕が遅れて出てくると言えば球持ちが良く打ちづらいピッチャーをイメージするかもしれません。
ですがここでいう腕の遅れとは、準備が整わないうちに身体が飛び出して突っ込んでまう事でテークバックからトップにかけてのタイミングが間に合わず、結果として腕が遅れている状態。リリースでしっかりとボールを押し込む事が出来ず、抜けやすくなったりシュート回転やスライダー回転する原因にもなります。また押し込めないと言う事は叩けないという事でもあります。威力のあるボールを投げる事が出来るピッチャーはバレーボールのアタックやテニスのサーブのように、しっかりとボールを叩くようにリリースしています。

また身体が突っ込むと体重が前足に早く移ってしまうので、回転するためには上半身で捻って開くしかなくなります。腕が遅れている状態で身体を開くと、リリースポイントに間に合わせるために肩の前側の筋肉などを使って無理やり腕を持ってくる形になります。この方法は当然ながら肩や肘への負担が増し、ケガのリスクが高まります。

“速い球を投げたい”への対処法

骨で投げる意識を持とう

急に骨で投げろと言われてもイメージが湧かないのではないでしょうか。もう少し砕けた言い方をすると、骨の方向が投げたい方向を向いてから投げましょうという意味です。加速しようとして飛び出してしまった結果、回転するパワーが残っておらず上半身の筋力で無理やり身体を回してしまうのは先述した肩や肘のケガのリスクを高めるだけでなく、腰やお尻の筋肉にもダメージが出やすくなります。骨で投げる為には前に向かって飛び出す事なく足から順番に回転し、軸足の膝から前足の膝に向かってバケツリレーをするように体重を移動させていく必要があります。

仕組みを理解する事が最優先

色々な事を説明されたとしても、結局は自分自身で仕組みを理解して速いボールを投げられるというイメージを持つ事が出来なければ速い球を投げたいという気持ちはコントロールする事が出来ません。また自分の中にあるこう投げれば速い球が投げられるという感覚を捨てて新たな感覚を作っていく必要も有ります。自分の感覚を捨てる事は非常に勇気がいる作業ですので、しっかりと仕組みを理解する事が出来なければ割り切る事も難しいでしょう。

まとめ

今回のテーマは多くのピッチャーが一度は経験するであろう問題です。速い球に憧れるのはピッチャーとして当たり前です。ですが仕組みを理解しているか否かによって、最終的どのレベルで活躍出来るかは大きく変わってくるので、焦る事なく一つ一つの動きをしっかりと確認しながら理解していきましょう。

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